流行に振り回されて見失うものとは

2011.09.30

2DKにL(リビングルーム)という新しい空間が加わるようになったのは、昭和も四〇年代に入ってからでした。リビングルーム、つまり居間です。東京オリンピックを契機に、曲折はあったものの基本的には右肩上がりの成長路線に弾みがつき、庶民の「豊かさ」への憧れとして、住む家にも広さが要求されるようになったのです。日本の家は2LDK、あるいは3LDKという形で広くなっていきました。LDKといういわば記号で家の間取りを表現し、リビングとダイニングは日当たりのいい南面に置かれるようになりました。そして今や、郊外の公団住宅の広さは一〇〇平方メートルを超えることも珍しくなくなりました。「吹き抜けのある広いリビングルーム」を売りとする家が当たり前となったのです。住居が広くなるにしたがって、「食寝分離」や「就寝分離」をキーワードとする、部屋を機能別に分ける動きがより定着したことはいうまでもありません。欧米式の生活スタイルの浸透のせいか、近頃は各部屋に鍵がついた家までお目見えしており、それは子供部屋も同様です。家族が住む家になぜ鍵が必要なのか、私にはいささか理解しかねるところですが、いずれにしても個室は隔離され、その「隔離された空間」で、一日中、パソコンと向き合う子供が増加しています。結局大空間も個室も、家を購入する側と提供する側か単に「流行」だからという理由だけで購入したり提供したりするのではなく、その家でどういう家族生活を目指すのかを将来の家族構成なども視野に入れて考えることが大切なのではないでしょうか。

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